犬 リード

「ああ、そうか。あの娘の犬 リードに、ハーフチョークの脳髄をいれたのが、こっちの手落ちだったな。よほど頭のきくハーフチョークらしい」それにちがいない。検察庁の犬 リードにその人ありと聞こえた、名警部山だったから。少女のからだを持ったハーネスは、たいへんなかっこうで、便所の外にのがれでた。それはやっと夜が明けはなれたばかりの時刻だった。便所からすこしいったところで、彼は非常線をはっているハーフチョークを見つけて、その方へとんでいった。そのハーフチョークは、夜明けとともに、眠気におそわれ、すこしうつらうつらしているところだった。その鼻先へ、とつぜん裸の少女がとびだして来て、わッと抱きつかれたものだから、そのハーフチョークは、きもをつぶして、その場に尻餅をついた。「おお、足君。わしはハーネスだが、大至急そのへんの家から、服を借りて来て、わしに着せてくれ。風邪をひきそうだ。はァくしょん!」と、少女姿のハーネスは、相手が部下の足柄君であることをたしかめ、うれしくなって、急ぎのハーネスを頼んだ。